佐野洋子 という人
2011年 07月 22日
この1冊を読むと、人生は喜劇の中に悲劇があり悲劇の中に喜劇があると思え、こんなあたしでも捨てたもんでもないかも・・とさえ思わせてくれる。
「役にたたない日々」を執筆中に佐野洋子はガンで余命2年を宣告されるのだ。
ニコニコ堂という骨董屋のオヤジは今にも死にそうな真っ白な顔をしてて、目をつぶっていると死体に見える。そのニコニコ堂のオヤジに「佐野さんもう一年くらいで死ぬのに、こわくないの」と聞かれ、
生きている死体に聞かれたくないわと思いながら「全然、だっていつか死ぬじゃん、そんなのわかっているじゃん」「だけど何で、そんなに平気で元気なの、こわくないの」「こわくないったら。嬉しいよ、あんた死んだらもう金いらないんだよ、かせがなくたっていいんだよ、金の心配しなくていいだけでもラッキーって思うよ」「こわくないの」「こわくないって、それにガンってすごくいい病気だよ、死ぬ時に死ぬじゃん、もっと大変な病気いっぱいあるじゃん、リューマチとかだんだん悪くなるだけで、ずーっと痛くて治らないとか、死ぬまで人工透析するとか、脳梗塞で寝たきりで口がきけないとか、体が元気で痴呆とか、何でガンだけ『ソウゼツなたたかい』とか云うの、別にたたかわなくてもいいじゃん。私たたかう人嫌いだよ」
ところでニコニコ堂とは骨董屋さんです。そこんちの息子長島有くんが「サイドカーに犬で」文学界新人賞をもらったそうです。その後に書いた「猛スピードで母は」で佐野洋子が表紙の絵を描いたら芥川賞をとってしまったんですって。
ものすご~く共感した、佐野洋子語録?
私の家族はテレビなのね、きっと。どこ回してもお笑い番組ばかりで日本はあの吉本に占領されるぞ。しかしあの人たちはどうしていつもあんなハイテンションで上ずりっぱなしでいられるのだろう。 続く