友の死
2014年 02月 26日
電話が好きなひとで、頻繁にかかってくる電話をうざい、と思ったことも正直あった。
その彼女から毎年年末に送ってくる大小のお餅が届いた際、「ありがとう」の電話で話したのが最後の会話になった。
お礼に黒豆を送ったのに電話もメールも来ないことに、強い不安を感じていた。
1月の半ばに彼女の夢を見た。気になって気になって今までこちらからあんまりした事のない電話をしつこくやった。夢を見たこともメールした。
そうしたら1通だけメールが来た。「ただ今電話に出られません。後ほどこちらから連絡します」
私は不安でしかたがなかったが、「忙しいんだよね。待ってるねからね」と又返事を返して、彼女からの連絡を待っていた。
うちの息子と彼女の息子が友人だから、息子に頼んで近況を尋ねてもらったが、「大丈夫」よのことなのでそれ以上はしようがなかった。
それから2週間ほど後に息子から「Iさん亡くなったって」と電話があった。
それだけが心配で心配でしかたがなかった私は言葉もなく涙を流すだけだった。
家族でもない人の死でこんなに泣いたことははじめてだった。
「あなたにありがとうって伝えてほしいって」息子が言った。
その言葉にまた泣いた。「ありがとう」は私が彼女に言うべき言葉だった。
この年で友の死はこたえる。会わなくてもいいから、遠くでいいから、ただ元気でいてほしい。
わがままな私に友の数は少ない。私が友と思っているだけで、相手は思っていないかもしれない。それでもあえて言っておく。
洋子、姫だるま、りん子、連絡なんかどうでもいい。元気でいれさえくれれば。