六尺褌
2007年 07月 25日
家庭に洗濯機がやって来たのはいつだっただろう。幼稚園やそこらの頃は盥(たらい)と洗濯板で洗っていた。六尺もある褌を洗うより、そりゃパンツのほうが洗いやすかっただろう。それに叔父は育ちだけはお坊ちゃまで、褌の紐を男結びにしてしまい、ほどけなくなることが間々あったらしい。ほどけなくても用は足せる。隙間だらけなところが褌の真骨頂なのだから。紐をほどくのも面倒だと伯母がこぼしていた。そして伯母は一計を案じた。それは紐の部分をゴムにすることだった。叔父は最後まで伯母の特別誂えの褌をしていた。7月7日の早朝、伯母の悲鳴のような電話があって病院にかけつけた。すでにナースが清拭をはじめていた。チラリと白い褌が見えた。