『正月は冥途の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし』
2008年 01月 07日
「銀(しろかね)も 金(くがね)も玉も何せむに まされる宝 子にしかめやも」
この山上憶良の歌が孫娘の初節句の屏風に書いてあった。
「親思う心にまさる親心」という歌もある。子どもが親を思う気持ちよりも親が子を思う気持ちのほうが強いのは、いつの時代も変わらない。銀や金や珊瑚なんぞ較べるべくもない宝子と憶良は言う。そこに孫という宝が加わる。金銀珊瑚は彼らの愛しさに較べたら、毛ほどの価値も無くなる。男女間に無償の愛があるなんて私は信じない。だけど孫たちの可愛さといったらどうだろう。一人だったときは一人なりに、二人になって三人になったら、愛情というものは無尽蔵にこんこんと湧いてくるものらしい。見返りなんか一切期待などしてはいない。娘や息子には確かに持ったある期待、それが見事にないのが子と孫の違いなのかもしれない。
年頭に思うのは、ただ健やかに育てと、それだけ。