どちらとも言えません by 奥田英朗
2012年 03月 07日
奥田英朗氏は「イン・ザプール」で直木賞候補に挙がり「空中ブランコ」で同賞受賞。あたしは2作とも未読。
「どちらとも言えません」は「Number」というスポーツ雑誌に連載されたエッセー。
全くのスポーツおんちのあたしにもたいそう面白かった。ちょっとだけスポーツ通になった気分。
スポーツを通じてわかる日本のダメさと良さ(あんまり無いけど)がかなりよくわかる。
一番「なるほど!」とヒザを打った箇所
<サベツ的なヨーロッパ:アッパーorロウワー?>
日本人がどうしても実感できないものに、ヨーロッパを主とする階級社会といぅものがある。やれ格差だ富の偏在だと騒ぎ立てても、やっぱり日本は世界では突出した平等社会であり、皇族以外はみな一緒という考え方が根強い。国民の間に基本的に特別扱いはなく、あったとしても「金がものをいう」程度のことで、昨今の「セレブ」とやらも、身分ではなく財布の話に過ぎない。戦後の日本に階級は存在せず、その点でヨーロッバが築いたグローバリズムとは大きくかけ離れている。・・・・のだそうです。
だからなんだ。友人知人がイギリス及びフランスに旅行した際の彼我の印象がそれぞれ違って聞こえるのは、たまたま向こうで出会った人がどこの階級社会に属する人かで違ってくるんだ~、ふむふむ納得したぞ。
そんなサペツ的なヨーロッパであるから、スポーツの分野においても階級は当たり前のように存在する。スボーツが文科省主導の学校教育として育った日本とちがって、あちらはコミュニティのクラブとして発展を遂げたので、育った社会的階層がちがえば、たしなむ遊戯もちがう。アッパーなものは、ラグビー、クリケット、ゴルフにテニス。ロウワーなものはフットボール・・・・。早い話、サッカーとそれ以外と考えたほうがよろしい。ペッカムの英語を最初に聞いたとき、その訛!のひどさに驚いたが、全身の刺青lいい、あの女房といい、彼は典型的なワーキングヒーローなんだそうです。
サッカーはロウワーなスポーツだったのね!!なっとく!
サッカーはどだい日本人には向かないスポーツらしい。
それは1にも2にも「順番を守る国民性」に尽きる、と彼は言う。
だから日本人は野球を得意とする。ボールを持つ攻守が完全に分かれていることと、打順とポジションがちゃんと決まっている、からなんだそうです。