空也上人がいた by 山田太一
2012年 03月 12日
あれだけ何度も京都に出向いているのに、空也上人が蔵される六波羅密寺に行ったことがなかった。
清水寺のすぐ側なのに。
このお寺の存在さえ知らなかった。うすぼんやりと知ってはいたけど、空也上人ってどんなお方?
この本を読めばそれがわかるわけではないけど、人生の黄昏を迎えた?我々には是非読んでおきたい1冊かもしれません。
「八十一年働きき続けてることに、時々驚くんだ。寝ても醒めてもだろ。こんなに休憩もなく絶え間なく動いてるなんて、途方もないよねえ。なんか不自然な気さえして来て、少し岨めて休ませなくていいのかなんて思っちまう」「はい」「そういう齢だから終りについては不満も欲もない。問題はその前だね。六年前、女房を亡くした。これにはぴっくりしたね。そういうことがあり得るのは百も承知で承知していなかった。感じとしては突然七、八人に死なれてしまったようでね」
↑妻に先立たれた81歳の老人が主人公草介に語るこの言葉が全て。こんな想いはきっと誰だって抱くものなのだと思う。
次回上洛の際には「六波羅密寺」まで行ってみよう。空也上人に会ってこよう。