輪違屋糸里
2006年 12月 01日
「輪違屋糸里」これって最初は何て読むかわからないみたいです。私もわからなかった。わちがいやいとさと、です。糸里の先輩、傾城(置屋のトップ)音羽こったいの台詞。大好きなので、書き留めます。
非礼な芹沢鴨にむかって言います。
芹沢鴨 「聞いてつかわす。何なりと申せ」
音羽こったい 「ほなら、言わしていただきます。太夫がお衿を返して赤いべべを見せておいやすのは、伊達も酔狂もあらしまへんのどす。お内裏の中で舞い謡う五位の禁色をこないにしてお見せしてから、御門を通ります。そのときは御所を守ったはる守護職所司代のお侍も、みな頭を下げはります。それとも壬生浪士組の主さんは、五位より上の位をお持ちどすか」
「禁裏におわしますやんごとないお方も、太夫をお待ちになります。上(かみ)の下(しも)のやおへん。島原の太夫が禿(かむろ)の時分から血を吐く思いで身につける芸はな、白拍子(しらびょうし)の昔から千年も伝えられた、尊いもんどすのや。舞うにせよ、お琴を弾くにせよ胡弓を奏するにせよ、芸事いいますもんは、お武家さんの槍や刀の術よりも、根っから尊い、かけがえのないもんどすのや」
そして音羽太夫は芹沢鴨に言う。斬られることを覚悟して。
「どうぞ、ご存分に。言わでものことまで、言うてしまいましたさけ」
今わの際に音羽は糸里に言い残す。
「恨むのやない、だあれも恨むのやない。ご恩だけ、胸に刻め。ええな」
よっ!!浅田!!