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好きな本、好きな映画、おもろい人々、泣かずに遊ぼ!


by kateido2000
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輪違屋糸里

先だって娘と話していてこの「輪違屋糸里」の話に及んだ。「最後が許せん」と娘は息巻く。確かにそうだ。最後が180度捻じ曲げられている。何であんな脚本になったんだろう。原作では土方歳三が芹沢鴨の暗殺に際し、糸里と吉栄(何れも花魁ではなく天神;この天神という言葉もドラマでは転神になっていたし、島原の二文字は1度も出ず、雅野とわけのわからん名称に変えられていた)に毒を盛るように頼む。そして2人はその役を成し遂げるのだ。なのにドラマでは毒を盛るのを思いとどまり、それで土方に斬られかかる。そうじゃない。そうだと土方歳三という人物がかなり矮小されることになる。了見の狭い男という風に。そうではなく土方は2人の天神をハナから斬るつもりだった。そこを賢い糸里は最初から見透かしておいたから、その時胸のすくような啖呵が口をついて出てくるのだ。脚本をまげているせいで、その啖呵もおかしなものに変わっていた。本当はこうである。

「わてらを、斬らはるおつもりどすな」
糸里は腹の底から、鍛え上げた声を張りあげた。
「わても吉栄も、このえげつない欺し討ちの片棒をかつぎましたさけ、口が裂けても他言はいたしまへん。そしたらどないなわけでわてらを斬らはりますのんか、わけがあるなら言うとくりゃす」
土方は答えずに刀を構えた。
「音羽こったいを斬った芹沢先生にも、無礼討いう、たとえご無体にせよお侍らしいわけはありましたんえ。わてらにどないな無礼があったか、言えるもんなら言うてみなはれ。・・中略・・あんたはんはお侍やない。おなごと一緒に、田畑を耕してきたお百姓やからおなごがおとろしうてかなんのやろ。どや、土方はん。物が言えるなら、言うてみい。」
「どや、土方はん。お百姓のままでもええのやったら、わてらを斬りなはれ。どなたでもかましまへんえ。何どしたら近藤先生をお連れしてでも、おとろしうてかなんおなごを、口封じに叩き斬ればええ。そしたらあんたら新撰組は、晴れて天下のどん百姓や」


この決め台詞が聞きたかったのに~っ!と娘は怒る。「どん百姓」が放送コードに抵触するのかな?ここは浅田次郎先生も変えてほしくなかっただろうけど、ご時勢かな。
「やな渡世だな~。。」
by kateido2000 | 2007-10-06 01:08 | 好きな本好きな映画