あやしい本棚 by 中野翠
2008年 06月 18日
伊丹氏のエッセイから
「やたらと紋切り型の言葉を使う人がいる。・・・・(略)スキーで転んで頭から雪へつっこむと、”顔面制動”とくる。”光栄の行ったり来たり”とか・・。歩くことを”テクシー”という。秀才とか、名人とかいう言葉が出ると”でもシュウは臭いほうのシュウだけど”とか、”メイは迷うほうのメイでしょう”とか言う・・・斜視のことを”ロンパリ”、ズボンのチャックを”社会の窓”、下駄を”ジャパニーズ・スパイク”、お風呂へ行くことを”ニューヨーク”、”質屋を”イチロク銀行”、日曜日のことを”ネテヨービ”・・・」
上が中野が選んだ一節。私が読んだので覚えているのは、例えば珍しいことをやってる人に対して「雨が降るかも・・」{だから雨が降った」とか。こういうこと言う人いるでしょ?
これらの事を言うのが何で悪いんだ!と怒る人がいるかもしれないし、本当に別段ナニも悪いことなんかないのであるが、ただ聞くほうは心底ウンザリするというのも又ホント。ウチの店の場合、ダントツに多いのはここ数年「バイアグラない?エヘラエヘラ・・・」なのだが、例えば「○○のない?」と精力剤を求めに応じて出すと、「相手がいない・・エヘラエヘラ」とか「あんたが試してくれる?エヘラエヘラ・・」などが多くて、やっぱりウンザリなのだ。この紋切り型を使う人は圧倒的に男で、オヤジなのさ。女の人でこれを使うっていう人は、オヤジ化していると思って「マチガイナイ」。あ~、言っちゃった、エヘラエヘラ・・・・