好きな本、好きな映画、おもろい人々、泣かずに遊ぼ!


by kateido2000
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一瞬でいい 唯川恵/著

軽井沢に住む稀世と英次。東京に住む未来子と創介。4人は、高校生活最後の思い出に浅間山に登山することに…しかし途中、創介が怪我。助けを呼びに言った英次が滑落死する。3人は英次の死をそれぞれに背負い、それぞれの人生を歩む。一瞬の出来事で、友が亡くなり、残った友の人生が大きく変わっていく!「もし、あの一瞬がなかったら、私たちどんな人生を送っていたかしら」

唯川恵の本はとても分かり易い、スラスラ読める、ストーリーが昼ドラっぽい・・ので愛読者(女性)は多い。「一瞬でいい」は登場人物男女4人のうち、一人はすぐ死んじゃうから、3人男女の10代から50代までの物語ということになる。かなり長い。TVドラマにしたら面白そう。18歳から50歳代までのストーリーは1クールでは足らないかもしれないが・・。主人公の創介が50歳で父親と和解したときの気持ちが以下のように描かれている。
父に反発し父を拒み、父を否定することでがむしゃらに生きた時代があった。年月は過ぎあの頃の父と同じ世代になった自分が・・・・・略
この年になって初めてわかる、拘(こだわ)りも蟠(わだかま)りも、結局は捨てるためにあるということに。

ここのとこに気持ちが揺さぶられた。拘(こだわ)りも蟠(わだかま)りも、結局は捨てるためにある。   そうよ、そうなのよ、この年になんなきゃわかんないのよねっ!思えばあたし、この、こだわる、という言葉が嫌いだった。それはもしかしたら、こだわっている自分がイヤだったのかもしれない。ある日を境に(あたしの場合病気、それもかなり重いという思い込み)こだわっている自分が本当にイヤになり、それを捨てた。本当にさっぱりした。又これから先も、そういう自分が見え隠れするかもしれない。その時は今の気持ちを思い出すよう努力しよう。
一瞬でいい 唯川恵/著 _d0073646_23235824.jpg


以下<日本の子どもの心はアンパンマンが作っている。  by・・小倉千加子>
「ぼくらはみんな生きている。生きているからうれしいんだ」という訳のわからない歌詞を「実は絶望的な気分」で作ったのはやなせたかし<アンパンマンの作者>である。「鉄腕アトム」はロボットである。しかし「アンパンマン」はアンパンである。アンパンマンがいてメロンパンナちゃんがいて、それが「いい者」で、対する「わる者」はばいきんまんとドキンちゃんである。その善意の上にジャムおじさんがいる。「なぜそんなにアンパンマンが好きなの?」と3歳児に聞いてみたが、「わからない」と言う。
アンパンマンの顔に理由があるのではなかろうか。円を一つ描き、その中央に横一列に○を3つ描くと、アンパンマンの鼻と頬になる。眉毛(毛はなく線)と目と口を書き添えれば、アンパンマンの顔である。髪の毛はない。これは曼荼羅である。ジャムおじさんはアンパンマンと同じ顔をしている人間である。ただ眉毛とヒゲと髪の毛を付け足せばいいだけである。「アンパンマン」はその昔、人間の大人に近い不気味な顔をしていた。そして人に自分の顔を食べさせたりしていた。すごくシュールだったのだが、それが円形になって記号になった。アンパンマンは、父と母から生まれたのではない。パン工場で作られたのである。「根源に性のない生」を持ったアンパンマンの世界には、地獄絵にある具体的な恐怖が一切ない。日本の幼児の心のかなりの部分はそういう「アンパンマン」が作っている。
by kateido2000 | 2008-07-15 23:24 | 好きな本好きな映画